「お姉ちゃん、もう少しセイルを出して」
ゆみは、舵を握りながら、祥恵に頼んだ。
「あんまり出すと、セイルがバタバタする」
「だって、アビームだよ」
祥恵は、ゆみに言われて、指を上に突き出し
風向きを確認する。
「あんた、よくアビームって言葉覚えたね」
「だって、大学ヨット部で優勝者だもん」
ゆみは、祥恵に言った。大学の、女子だけの
ヨット部の練習レースで一度優勝していた。
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